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2007.07.18

ESL Design and Verification: A Prescription for Electronic System-Level Methodology

ESL D&V読みました。

頑張って読めば、頑張ったなりに得る物も多い本。
ESL業界/技術全般について広い考察を入れながら、ESLとはこうあるべきだと語られています。読み所は、最初と最後の一人語り。それと、大量に紹介されているESL関係の研究/プロダクト。

前半は、業界の歴史から入ります。EDAベンダーや言語の話、まさにVerification 1.0から3.0まで駆け足で説明が入ります。
中盤はややだるく、ESL設計とはこうあるべきだという正論が繰り広げられます。現実はまだまだ筆者の思っているレベルまで来ていないため、ここがつまらなくなるのはしょうがないとはいえ、ひたすら英文を読み続けるのはちょっときつい。が、最後で感動するためにはちゃんと読もう。
後半に入ると、実際に知っている開発手法に入り、随分と読みやすくなる。読みやすいがかえって得る物は少ないかも知れない。

読んでいて感じるのが、筆者の正確な検証へのスタンスだ。本の中ではpositive verificationと表現され、仕様がこうだからこうあるべきだという科学的な検証手法へのこだわりは素直に尊敬する。「仕様を定義して検証する」のスタンスを貫いているため、EDAベンダーのプレゼン等に比べるとrule-baseによる設計手法への言及が若干多い。

最後の章はすばらしいの一言。
・設計手法はどんどんソフトウェアの世界へシフトしていく。マルチプロセッサや、並列処理システムにより、今のソフトウェアとハードウェアの分割手法は時代遅れになる。software/software co-design!
・デジタル回路の教科書は、ゲートレベルの事を教えてばっかりだ。100ページ以上も読んでようやく、小さな組み合わせ回路や、ALU、ステートマシーンがでてくる。そうじゃなくて、HDLを使ってデータパスと制御回路といった抽象度の高いシステム設計ができるようなアプローチが良い。Digital Design Vhdl: An Embedded Systems Approach Using Vhdlはそういうスタンスの本だよ。
・技術はどんどん進化するからじじいは余計な事を教えるな。カルノー図の最適化なんて教えることで、大事なことが見えなくなっていく。
・FPGAがEDA業界を変えている。Altera、Xilinxは石を売るのが仕事だから、ツールでもうけなくても良い。これからはIPコアの時代が来る。

最後は私の主観が入りまくりの補足だけど、筆者はIPコアで成功したのはARM社くらいだね、と書いた上でIPコアの時代が来ると宣言している。今までのIPコアベンダー(デナリとかテンシリカとか)は、最終的にASICにすることを前提に提供している。今後は、FPGA+再利用可能なIPコアという時代が来るかもしれないという予想だ。最終章では、globalizationにもかなりのページを割いており、ハードウェアの設計≠ASICの製造になる日が近いと思っているんじゃないだろうか。それとともに、検証手法/ツールも変わってくるはず。軸足がASICにない新しいツールもかなりでてきている。Identifyとか、ポセイドンとか、きっちりFPGA業界を狙っている。日本にいると、小スペース、バッテリ駆動、マルチメディア処理のために、ASICを起こすのは必須な所が多いけど、WorldWideで見た場合、FPGAでオッケーというのが増えていくと思う。そのとき、今のケイデンスを初めとするBig3はどうなるんだろう。Mentorは基板の方強そうだから、設計手法変わっても、しぶとく残りそうな気がする。

全体的に筆者がFPGAに冷たい理由が、最後の最後で分かった気がする。僕はFPGAの業界にいるから攻める側なんだけど、筆者は攻められる側なんだ。科学的な検証手法ではなく、実際に動かしてみてコーナーケースをついていく、筆者の言うところのnegative verificationに許せない気持ちがあるんだと思う。ブリタニカが、エンカルタを見て「あんな物と比べないでくれ」と怒ったのと同じだ。ASICとFPGAでごたごたしているあいだに、超低消費電力、高速、マルチで全然OK、みたなプロセッサと、それらをサポートする並列言語、専用OSがでてきて、ハードウェアの世界はなくなってしまうかもしれない。汎用機がPCに、ブリタニカがwikipediaに取って代わられたように、どうしてもって所だけ数億かけて半導体作る世界になるんだろうなぁ。


筆者からエンジニアへの言葉

1. Retain an open mind. -- engage in lifelong leaning -- and be ready to modify your patterns and mental frameworks whenever the evidence accumulates that a different approoach in needed.
2. Foster an openness to new cultures, ideas, and ways of doing things.
3. Continue to learn, because those with the most knouwledge will always have the highest value and will be able to evolve with whatever changes come along.

日々勉強

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